事務所の窓から見える青葉通りのけやき並木も青々とした若葉を茂らせており、いよいよ杜の都仙台といった雰囲気となっております。

本日は、遺産分割に関する記事を書かせていただきます。
私たち弁護士は、仙台弁護士会を通じて、仙台市内(または宮城県内)のさまざまな場所での法律相談に派遣されることがあります。
これらの相談を担当すると、かなりの割合で相続についての相談があります。

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相続に関する相談内容は大きく分けて2つに分類されます。
ひとつは、相談者の方の財産を特定の誰かに相続させたいという方(まだ相続が発生していないケース)、もうひとつは、すでに親族が亡くなって、今後の手続をどのようにすればよいのかよく分からないという方(すでに相続が発生しているケース)です。

前者については、事前にある程度調べて来る方が多いため、1回の相談で納得される方がほとんどです。一方で、後者については、突然の訃報に何の準備も知識もないため、全体的に教えてほしいという方が多くの割合を占めています。
そのため、1回の相談だけでは時間が足りず(当事務所以外の外部相談では30分の時間制限が設けられることがほとんどです。)、後日、西公園法律事務所に来訪いただき再度ご説明するケースも少なくありません。
そこで、相続が生じた場合について、簡単な説明と弁護士を選任することのメリットについてご説明します。

相続が生じた場合には、①遺産の確認と②相続人の確認をする必要があります(この他、遺言についての調査もすべきですが、この点は割愛します)。
すなわち、何を分けるのかという遺産の範囲の確定(①)と、誰と分けるのかという相続人の範囲の確定(②)をしなければなりません。

①遺産には、被相続人のあらゆる財産を含みますので、預貯金や不動産はもちろん、動産、保険の積立金や解約返戻金、株式等の有価証券なども含まれます。(なお、借金も遺産になりますので、被相続人が借入をしている場合には、相続に関する話し合いを開始する以前に借入金の額を把握すべきです。)

①(遺産の範囲)に関して弁護士を選任するメリットは以下のような点があります。生前被相続人と別居していた場合や、そもそも被相続人と親戚づきあいをしていない場合には、被相続人にどのような遺産があるかは明らかではありません。弁護士を選任すれば、このような場合にも、金融機関や地方公共団体に対し働きかけることで、預貯金や不動産等の財産を調査することができます(なお、相続人の方がご本人で調査を依頼することもできます)。

また、遺産に不動産が含まれる場合、不動産の価値の算定を有利に行うことができます。不動産の価値の算出方法について、どのように算出すべきなのかという決まりもありません。そのため、固定資産税の算定のための課税標準額に依拠すべきか、あるいは不動産業者の査定をすべきか、はたまた路線価を基準とすべきかというように、不動産の評価額の算定方法だけでも争いとなる可能性があります。弁護士を選任すれば、このような不動産の価値の算出方法の中で一番有利な方法を選択して主張することができます。

②相続人の範囲には、被相続人の配偶者や、子、(子が死亡している場合には)孫などの直系卑属、(子や孫が誰もいない場合)両親などの直系尊属、(子も孫も両親も死亡している場合)兄弟姉妹が含まれます。(事案によっては、相続人ではないにもかかわらず、相続人のような振る舞いをする方がいますので、注意が必要です。)

②(相続人の範囲)に関して弁護士を選任するメリットは以下のような点にあります。
被相続人の子や、被相続人の親が存命中であれば、比較的相続人の範囲を確定することは容易です。しかし、被相続人の子や両親が既に死亡してしまっているような場合には、相続人が多数に及び、その確認作業はとても煩雑な作業が必要となる場合が多い傾向にあります。この場合の作業としては、被相続人や相続人全員の戸籍、さらに、本来相続人だったもののすでに被相続人より前に死亡している者の戸籍を収集する必要があります
(この場合、亡くなっている方の戸籍はその方が生まれてから死亡するまでのすべての戸籍を取得する必要があります)。
弁護士を選任すれば、相談者の方々が、戸籍の取得作業を行うことなく、漏れなく相続人全員を特定し、遺産分割協議を行うことができます。

先日、仙台市内の地方公共団体で開催された法律相談を受けられた方から、電話をいただきました。
「弁護士さんに説明していただいたとおりに手続をすすめることで、何とか遺産分割協議をすることができました。ただ、いろいろと大変で、弁護士さんを頼めばよかったと後悔してます。」と仰っていただきました。
確かに、弁護士に依頼した場合には弁護士費用が発生してしまいますが、遺産分割交渉に多くの手間がかかる場合には弁護士を選任することで、有利かつ円滑に遺産分割を行うことができます。

なお、当事務所では法テラスと契約しておりますので、弁護士を依頼する際の弁護士費用(着手金等)の立て替え手続を利用することができます。
ですので、着手金や弁護士費用を直ちに用意できない方でも、お気軽にご相談ください。

 

文責 仙台弁護士会所属 弁護士 松村幸亮