季節は、梅雨を迎えようとしているのか、仙台市内はぐずついた天気が続いております。
早いもので2017年も6月に入りました。

本年4月3日付けの当ブログで、昨年12月に、仙台地裁において、商品先物取引会社(第一商品株式会社)に対して、業者側の責任を認め、被害者に約4600万円の支払いを命じる判決が出された事案を紹介させていただきました。最近、この件について、仙台高裁でも、仙台地裁と同様、約4600万円の支払いを命じる判決が出されましたので、ご報告いたします。

事案を簡単に紹介しますと、被害者の方は、被害当時60代の女性でした。被害の概要としては、被害者の方が商品先物取引の仕組みを理解していないことに乗じて、「業者に任せておけば安心だ」と言ったり、「業者のいうことを聞かなければ先物取引についてのアドバイスはしない」などと働きかけながら、不要な取引を多量に行わせ、約8500万円もの手数料を生じさせ、それまで生じた利益と相殺しても、合計約6000万円もの損害を被らせたというものでした。

業者(第一商品)としては、この種の事件を繰り返し行っているため、業者が責任を負わないよう周到な準備しています。たとえば、様々な書類に署名押印させたり、すべて自己責任でやっているという書面を作成させたり、素人が見ても理解できないチャートを毎日閲覧するよう指示したり、被害者本人が主体的に取引に参加しているような体裁を整えています。実際に、業者は、裁判で上記のような書類やチャートの閲覧記録を提出し、被害者本人が主体的に先物取引を行っていたとの主張をしておりました。

これに対し、被害者側からは、取引の異常性(合理的ではない取引を繰り返し行わせたりしていること)や、被害者が商品先物取引を行うだけの判断力がないこと、そのような判断力がない人物に対する説明義務を十分に果たしていないこと(とおり一辺の説明をするだけでは足りないこと)などを主張し、損害賠償義務があることを主張しました。

そうしたところ、仙台地裁は、被害者側の主張を一部認め、業者に対して約4600万円もの損害賠償の支払いを命じました。業者側は、これを不服として、仙台高裁に控訴しました。一方、被害者側も、仙台地裁判決が、被害者側につき3割の過失相殺を認めたことを不服として、控訴しました。
これに対し、仙台高裁は、やはり、業者側の責任を認めたものの、被害者側の過失もやはり3割あるとした結果、仙台地裁判決そのままの約4600万円の支払いを命じる判決を出しました。

このように、商品先物取引被害は、業者側が作成した業者側に有利に働く証拠が残されていることが多いものの、その取引の異常性等に鑑みて、損害賠償が認められるケースが少なからず存在します。したがって、決して泣き寝入りせずに、被害回復を目指していくべきと考えます。

当弁護士事務所では、このような商品先物取引被害をはじめ、金融商品に関する事件も取り扱っておりますので、ご遠慮なくご相談ください。

 

文責 西公園法律事務所 弁護士 松村幸亮(仙台弁護士会所属)

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