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遺産分割協議では、さまざまな点でもめることがあります。どの遺産を誰が取得するかはもちろん、たとえば、被相続人の葬儀費用等は誰が負担するかなど、さまざまな点が問題となってきます。
この点、被相続人の葬儀費用を誰が負担するかは、法律上の規定はありませんが、裁判例では、相続人全員で負担するものではなく、喪主が負担することとされています(名古屋高裁平成24年9月29日判決)。(その代わり、喪主は香典を取得することができます。)

先日、当法律事務所が受任した遺産分割協議の事件でも、被相続人の葬儀費用等を誰が負担するかが問題となりました。葬儀を執り行った相続人からは、葬儀費用等を遺産から支払いたいと希望がありましたが、依頼者からは、生前、被相続人との折り合いが悪く、葬儀にまったく関与していなかったことから、これを負担したくないとの希望が出されました。弁護士による話し合いの結果、結局、葬式を執り行った相続人らが負担することになりました。

この件では、被相続人の遺産はほぼ預貯金しかなかったのですが、これを解約して、分配する手続が必要となりました。預金を解約し、分配する手続をとる際、多くの場合、預貯金のある銀行の支店に相続人が会して解約・分配手続を行います。この件の被相続人は仙台に居住していたため、仙台の銀行の支店に預金口座がありました。しかし、依頼者はすでに仙台を離れ、遠方に住んでいたことから、なかなか仙台の銀行まで足を運ぶことが困難でした。そこで、依頼を受けた弁護士が仙台の銀行の支店に出向き、解約・分配手続をすることにしました。弁護士は、仙台の銀行の支店で解約手続をし、現金を受け取って、後日、依頼者の口座に分配金を振り込みました。

このように、遺産相続においては、相続人が全国各地に散らばっていることも多いことから、地元の弁護士に手続を依頼することも便利です。

 

文責  西公園法律事務所 弁護士 横田由樹(仙台弁護士会所属)