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被疑者の身柄解放が認められた事例②(刑事事件)

比較的若手の弁護士である私は、日々の業務における刑事弁護事件の割合は多く、日々仙台市内、宮城県内を飛び回って、関係者との間で弁護士として様々な交渉をしております。

前々回の記事で記載させていただいた勾留の取消しという方法は、裁判所が勾留を決定した時点と事情が変わったこと(たとえば、証拠隠滅の恐れがなくなったことや、勾留の相当性を欠くようになったこと)を理由に、勾留する必要がなくなったとして身柄拘束の解放を求める手続きでした。
今回の記事は、似通った手続きである勾留決定に対する準抗告という手続きをご説明いたします。

準抗告という手続きは、勾留の取消しと異なり、裁判所の行った勾留の決定に誤りがあるため、身柄拘束を解くように求める手続きです。言い換えれば、準抗告は、裁判所に対し、その判断が誤っていることを認めるよう求める手続きですので、弁護士としての感覚でいえば、勾留の取消よりも、準抗告の方が認められにくい手続きとなっております。

最近、この準抗告が認められたケースがありました。仙台弁護士会の刑事弁護の当番日、仙台北警察署から呼び出されました。被疑者の方は、仙台市在住の会社員の方でした。その方と接見中に、「弁護士さん、今すぐにでも身柄拘束を解いてほしいんです。私は特殊な技術職に就いていて、私が身柄拘束されていると、会社にも会社の取引先も多大な損失が発生してしまいます。」との申告を受けました。

このような申告を受けたため、弁護人として被疑者の勤務先や知人に電話をしたところ、確かに、被疑者の方が勾留されてしまうと、会社や関係先をはじめ、社会的な損失が見込まれると思われました。そのため、私は、被疑者の方から事情聴取をしたり、知人や勤務先の方と被疑者の身柄解放後の生活等について協議をし、勾留決定の2日後には、仙台地方裁判所に対し、①被疑者本人から聴取した事項、および知人や勤務先から聴取した事項を盛り込んだ準抗告申立書と、②知人の方に作成してもらった身元引受書(身柄拘束が解かれた場合に私生活を指導監督する人物になる旨の誓約書)を提出しました。しかし、仙台地方裁判所は、勾留の理由は存在する(勾留の必要性はある)として、準抗告を棄却するとの決定をしました。当然、弁護士としては全く納得できない結論でした。

そこで、私は、急ぎ被疑者の勤務先の代表者に連絡をとり、③今後も雇用を継続する意思があること(被疑者の方に技術があったため、代表者の方も積極的に雇用継続を誓ってくれました。)の確認書、および④被疑者の仕事の重要性に関して、その技術の専門家に意見書の作成を依頼しました。そして、勾留棄却決定から3日後(勾留決定から5日後)には、仙台地方裁判所に対し、再び準抗告を申し立てました。

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そうしたところ、仙台地方裁判所は、この2度目の準抗告を認めました。こうして被疑者の方は、勾留開始から5日後にして、ようやく身柄拘束は解かれることとなりました。

私は、この事例から、裁判所の判断が間違うことは往々にしてあること、当事者の方に一番身近な存在であって、法律の専門家である弁護士がしっかりと事情を伝えることで被疑者の方の権利が守られること、一度うまく行かなかったとしても粘り強く弁護活動を行うことの重要性を改めて学ばせていただきました。

文責  西公園法律事務所 弁護士 松村幸亮(仙台弁護士会所属)